親や親族が亡くなり、その実家がゴミ屋敷状態であったという現実に直面することは、相続人にとって計り知れない衝撃と負担をもたらします。清掃費用、精神的負担、そして法的な問題が複雑に絡み合う中で、「相続放棄」という選択肢が頭をよぎることも少なくありません。相続放棄は、故人の残した全ての財産(プラスの財産もマイナスの財産も含む)を一切引き継がないという法的な手続きであり、ゴミ屋敷の清掃費用や負債から逃れる有効な手段となり得ます。しかし、相続放棄は、自身の問題解決に留まらず、他の親族に与える影響も考慮に入れる必要があります。相続放棄をすると、その相続人は初めから相続人ではなかったものとみなされます。これにより、相続権は次の順位の相続人に移ることになります。例えば、故人に配偶者と子がいた場合、子が相続放棄をすれば、配偶者と故人の親(直系尊属)が相続人となります。もし故人の親も既に亡くなっているか、相続放棄をすれば、故人の兄弟姉妹が相続人となります。つまり、自身が相続放棄をすることで、他の親族にゴミ屋敷の問題を押し付けてしまう可能性があるのです。これは、親族間の関係に亀裂を生じさせる原因にもなりかねません。このような事態を避けるためには、相続放棄を検討する段階で、他の相続人となる可能性のある親族と十分に話し合い、状況を共有し、理解を得ておくことが非常に重要です。ゴミ屋敷の状況を説明し、清掃費用や負債の状況、そして相続放棄を選択した場合にどのような影響が出るのかを明確に伝える必要があります。場合によっては、親族全員で相続放棄を検討し、協力して手続きを進めることも視野に入れるべきでしょう。また、相続放棄の熟慮期間は、原則として自己のために相続があったことを知った時から3ヶ月以内です。この期間内に、ゴミ屋敷の状況把握、清掃費用の見積もり、他の相続財産の調査などを行い、相続放棄の是非を判断しなければなりません。この期間は短く感じられることもあり、焦って判断を下すことは避けるべきです。
ゴミ屋敷の相続放棄!親族への影響と対策