私がその言葉を口にするまでには、実に五年の歳月が必要でした。玄関の扉を開けることさえ困難になり、膝の高さまで積み上がったコンビニ弁当の空き殻やペットボトルの山。異臭を放つその空間で、私は毎日「死」を意識しながら生きていました。かつては普通の会社員として、誰からも頼られる存在だったはずの自分が、なぜこれほどまでに無残な姿になってしまったのか。仕事のストレス、大切な人との別れ、そして静かに忍び寄ったセルフネグレクト。私は自分を助けることを諦め、ゴミの中に埋もれることで自分を罰していたのかもしれません。しかし、ある夏の猛暑日、部屋の中に充満した腐敗臭と、窓を閉め切った灼熱の空気の中で、私は命の危険を直感しました。このままでは誰にも気づかれずに、このゴミの一部になってしまう。その恐怖が、私の心の奥底に眠っていた生存本能を叩き起こしました。震える手でスマートフォンを握り、インターネットで検索した「ゴミ屋敷 助けて」というキーワード。そこに表示された清掃業者の電話番号に、私はプライドも恥も全てかなぐり捨てて電話をかけました。オペレーターの方に「助けてください」と一言告げた瞬間、私の目からは溢れるほどの涙が溢れ出しました。自分がこれほどまでに助けを求めていたことに、その時初めて気づいたのです。数日後、自宅を訪れたスタッフの方々は、私の惨状を見ても決して眉をひそめることはありませんでした。それどころか「よく頑張って電話をくれましたね、もう大丈夫ですよ」と声をかけてくれたのです。その一言が、どれほど私の凍りついた心を溶かしてくれたことか。作業が進むにつれて、数年ぶりに姿を現したフローリングの床、窓から差し込む眩しいほどの日光。ゴミが運び出されるたびに、私の心に重くのしかかっていた何かが剥がれ落ちていく感覚がありました。自力ではどうしようもないほどに壊れてしまった環境は、プロの助けを借りることで、わずか数日でリセットすることができました。もし、あの時私が「助けて」と言えずにいたら、今の私は存在していなかったでしょう。誰かに助けを求めることは、決して弱さではありません。それは、自分自身の人生をもう一度愛そうとする、最高に勇敢な決断なのです。
絶望の淵から発した助けての一言が私の人生を変えた日